本日のトークは、Jeff Hutchingsによる『Dactylorhiza, Cypripediums, Ophrys and other Hardy Orchids』というものだった。
Dactylorhiza fuchsii(Common spotted orchid)も Dactylorhiza maculata (Heath spotted orchid)も、この国(特に南部?)ではよく見かける。同じ属のDactylorhiza aristataは、ハクサンチドリだから、前者2つのランの姿形というのは、ハクサンチドリを想像していただくと、わかりやすい。そして、これが一番初心者向けのラン。育てるのは比較的容易だという。
その次に易しいランとして取上げられたのは、Bletilla。Bletilla striataはシランだ。これはこの国には自生していない。
Cypripediums。Cypripedium calceolus(Lady’s slipper orchid: カラフトアツモリソウ)は、ヨーロッパから東南アジア、カナダ、太平洋沿岸など広く分布する。この国においても、特に北イングランドを中心に数多く見られたそうだが、20世紀後半に、なんと一桁台にまで数を減らし、イギリスにおける絶滅危機種として、今は大事に保護されている。キュー植物園で数を増やし、5つの自生地に再導入されているそうだ。自生地に再導入され、花を咲かせたランを見ようにも、こういうものは、厳重に保護されているために、自生地のずっと手前でUターンさせられるそうだ。
Ophrys。これは、Ophrys apifera(Bee orchid), Ophrys fuciflora(Late spider orchid), Ophrys sphegodes(Early spider orchid), Ophrys insectifera (Fly orchid), Ophrys simia(Monkey orchid)など、虫に似た形の花を咲かせるものが多い。(ハチ、クモ、ハエ、サル…)
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こういう耐寒性のある、露天で越冬できるランというものは、栽培が難しいと思われているが、まずは、そのランの性質を知ることだというのが、ジェフのアドバイス。当然のことではある。露天で越冬できるということは、逆に言えば、そういう環境でなければ育たないということだ。それを、温室で育てて「芽が出てこない」と言われることも、しばしばあるそうだ。イギリス自生のランではなく、シベリアだったかのランは、育つためには、冬の間、6週間は氷点下でなければならないそうだが、そのために、アメリカの栽培業者が大きな冷蔵庫を用意しているのを見て、はて???と思ったことも、かつてはあったと言う。
また、なかなか芽が出ないと言って、芽が出てくるはずの辺りの土を掘って、様子を見る人も多いそう。そういうことをしてはダメだと言うが、なんだかこれはわたしもしてしまいそうだ。
トークが終わったあとで、増えると聞いて、これはシランだろうなと思うものを買おうかと思ったが、くじの賞品に、よさそうなラン(主にカトレア系)がたくさんあったので、当たるかもしれない、当たらなかったら買おうと思っていたら、当たりくじ発表の時には、すでにジェフは地生ランの鉢とともに消えていた。くじは当たらなかった。残念。
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今回は下にあるLycaste aromaticaの鉢を抱えて持って行ったから、結構たいへんだった。蘭展の直前に咲き始め、なんとか3週間持ってくれたので、今回の月例会に持っていくことができ、カテゴリー21の部門において1等賞をもらうことができた。…と言っても、正直に言えば、この部門には2株しかなかったので、1等賞じゃなければ、2等賞がもらえたわけだが。
Lycaste aromaticaは、全部で5鉢出ていた。そのうちの3鉢はオークリー博士の所有で、それぞれの鉢が、バケツ大かそれ以上の大株ばかり。そして、わたしのLycaste aromaticaと、2等賞になった人のLycaste aromaticaだ。 ところが、オークリー博士の1鉢と、2等賞の人の1鉢は大きさこそかなり違うものの、同じ花が、同じように上を向いて咲いていた。親子だそうだ。
その親子も、わたしのアロマティカも、もともとはメキシコ産の同じアロマティカの種子から育ったものだが、わたしのアロマティカは花の形もやや違うようだし、何より、上を向かず、下垂して花をつけていた。14本の花茎のうち、6本はダブルで花が咲いていたが、その2つ目の花のつき方も、ちょっと変わっているそうだ。実生というのは、個体差が大きいようだ。
合計徒歩40分の間に揺らされまわったせいか、花が一気に痛んだ気がする。帰ってくると、茶色い部分が増えていた。
端さん、こんにちは。
シランは自生していないんですか、うちの方であれば
どこのお宅へいっても庭へ植えられていてよく見ます、私の
家にもありますよ、そろそろ芽を出してきているかもしれません
植えたまま放置していますけど毎年咲いてくれます。
アツモリソウは好きな花ですけど日本でも数が少なくなって
絶滅しそうになっているんですよね、ですから種類によっては
栽培物でしかも栽培物という証明書がないと売り買いできないと
聞いています、ここまで減ってしまうというのは好きな人に
とっては寂しい事ですよね。
> こういう耐寒性のある、露天で越冬できるランと・・・・
これ読んでそうだよな~と思ってしまいました Ophrys を
手にいれた事がありましたけど温室へ入れておいて球根が
腐って春になっても芽が出てきませんでしたよ。
> 芽が出てくるはずの辺りの土を掘って、様子を見る人も多いそう
これも出てこないとまだかな~、大丈夫かなと絶対に
見てしまいますよ (笑) 悪い事ばかりをしていたんですね (笑)
シランはくじに当たりませんでしたか、残念でしたね。
アロマティカは移動中に花が擦れたりして傷んだのかもしれませんね
傷み始めたら花を切花にしても良いかもしれません。
佐藤さん、こんにちは。
シランは自生していません。実家の庭にはあるんですけど。自生していないとはいえ、育てるのは簡単だとか。知人の庭にも、似たようなのがありました。だから、買おうかなと思ったんですが、残念なことをしました。考えすぎでした。アロマティカの比較的大きな鉢と、くじで当たった(…と勝手に想像してしまった・苦笑)カトレアとを持つと、3つ目の鉢はちょっと無理かなと…(笑)。
アツモリソウはいいですよね。わたしも好きです。今回も売っていましたけど、これは失敗しそうだし、値段は高いしで、踏みとどまりました。自生しているのを見られたら、ほんとにうれしいだろうなと思います。
あはははは。佐藤さんもやったんですか? 典型的な失敗。それも2つとも(爆)。
でも、早く出て来いと思って毎日見ているのに、ちっとも芽が出てこなければ、ちょっと
のぞいてみよう…となるのは人情でしょうねぇ(笑)。
金曜日から出かけるので、帰ってきた火曜日以降に植え替えをしようと思っています。
ところで、しばらく前に話に出たアツモリソウだったかの話。某国産は根がないという、あの話ですが、今回の話にも上がりました。横も長さもカット、カット、カットで根がないという。ネットオークションとかでも出てますけど、気をつけましょう。
こんばんは。
例会報告、楽しく読ませていただきました。シランはうちの近くにも自生していますよ。我が家の庭にもあります。ペルーに行った時にオクサパンパの近くの道路わきのがけにBletiaがたくさん自生していました。そのうち蘭紀行で紹介します。わたしもOphris持っていましたが、同じような失敗をしてしまいました(笑)。
Peacewoodさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
PeacewoodさんもOphris、お持ちでしたか?
で、同じ失敗ですか? どうしてもしちゃうんでしょうね。
①の失敗は、優しさが植物を殺す例。
②の失敗は、好奇心が植物を殺す例だそうです。
こんばんは。
例会報告拝見しました・・・とても楽しそうな(ためになる)例会だったみたいですね。
日本もですがCypripediumsの保護は、どこの国でも大変なのですね。
日本の立山などは観光客が多いので、高山植物も同じく管理が大変みたいです。
低地植物や外来種の種が靴底についていてそれが繁殖するため、
外来植物除去事業として草抜きをボランティアに依頼しているみたいです。
今は一気に増えることはないそうですが、温暖化次第では分からないとの事です。
低地では日本タンポポがなかなか見れなくなってきているようで、殆んどが西洋タンポポだそうです。
花と茎の境目のところで見分けるのですが、近くでは日本タンポポはなかなか見つけられません。
アロマティカの花は例会に間に合ってよかったですね、
大株にしやすい花なので、ぜひ大株にして300~400の花を咲かせてください。(^-^)
岩崎さん、こんばんは。
でかけていたので、遅くなりました。すみません。
例会は毎回、へえ~と驚くことが多く、とても楽しみにしています。
なるほど。確かに植物の管理というのはたいへんんでしょうね。そういう高山での外来種除去作業というボランティアもあるんですね。知りませんでした。立山でやっているということは、槍穂高あたりでもやっているのでしょうか。立山には行きませんでしたが、槍穂高は大好きな山で、穂高は何度も行きました。気になります。
温暖化でも植生っていうのはどんどん変わってしまうのでしょうね。西洋タンポポに、日本の在来種のタンポポはのっとられた感がありますよね。北海道でさえ、なかなか在来種が見られないと友人が言っていました。外見は似ているけれども、増え方が大きく違うので、驚きました。
イギリスではイタドリが、Japanese knotweedと言われて、繁殖力がすごいので嫌われているようです。
アロマティカ、なんとか例会に間に合い、ほっとしました。近いうちにい植え替えてやらなければなりません。へぇ、大株にしやすいんですか? 300-400の花?!!!! ひゃ~、もうびっくり。