国道20号線をタルマに向かって北東に走る。両側には、山がどんどん迫ってくる。その山も、日本で見たような高さではない。限りなく高い。地図を見ると、4000メートル、5000メートル級の山だ。そんな中を時々鉄道線路が交差する。といっても電車は見ない。
「4818メートル地点では、車を止めてね! 空気の薄さを体験してみたいから」と事前に念を押しておいたTiclio着。早速車からおりてみる。うっ、薄い!と、確かにわかる。からだが頼りない。写真を撮ろうにも、車に寄りかかって、シャッターを押すのが精一杯。逃げるように車の中に逆戻り。精神的な影響もあってか、それまでは平然としていたのに、なんだか気分が悪くなってきた。
ところで時々道路と交差していた線路は、リマからラ・オロヤ(La Oroya 3750m)まで行き、そこからワンカヨ(Huancayo 3271m)まで南東に向かって走る線と、ラ・オロヤから北上する線とに分かれる。Ticlio 4818mという世界でもっとも標高の高い地点を走る鉄道だと言われている。1800年代終わりに、なんと40年かけて敷設され、アンデスの亜鉛や銅、周辺の農作物を運ぶのが目的で、1日に1本くらい運行されるらしい。