そういえば。
マチュピチュ遺跡では、ガイドの説明を聞きながら一通りまわったあと、もう一度、今度はランの花を探しながら一人で歩いてみた。標高の低いほうのジャングルに面した、かなり切り立った部分(それでも幅1メートル以上の芝の通路がある。)に、ソブラリアが咲いていた。ソブラリアはあちこちに咲いていたのだが、とにかくこれも見に行こうかな、と思ったとき、「大丈夫ですよ」と声がした。それも日本語。見ると、ちょうどソブラリアの下辺り、芝の通路から、20歳くらいの男性が出てきた。
日本から、一人旅で来ているという。ペルーから空路クスコに入り、ホテル代が高いのと、高山病が怖いのとで、クスコは素通りし、もう少し標高の低い遺跡から、マチュピチュに来たのだと言う。「昨日もここに来て、こうやって、ここで一日昼寝してました」。優雅なひと時をすごしたのだな。
この男性とは10分くらいおしゃべりをした。ソブラリアを撮りに来たのだよ、これはランなんだよ、ここに来る道にも、別のラン(Epidendrum secundum)が咲いていたよ、と話すと、ああ、それはこれですか?と見せてくれたデジカメに写っていたのは、全く違う花だった。でもご両親が花好きで、だから花の写真もたくさん撮っているのだそうだ。
10分もおしゃべりしてくれたのは、きっと人恋しかったからなのだろう。翌日にはチチカカ湖に移動し、ボリビアに抜けると言っていたっけ。今頃は、多くの思い出を抱えて、また勉学に励んでいるのだろうか。
海外で日本語を耳にするとほっとした気分になると同時に自分のことは棚にあげて、「こんなところにまで日本人がきているのか」とか思ってしまいます(笑)。そして団体ではなくて個人できている日本人とは自然と話をしたくなるものですね。
マチュピチュは、日本からとても離れていますよね。地球の裏側って言ってもいいくらい。その遺跡の入り口に、5つ星のホテルがあります。オリエンタル・エクスプレスが経営するホテルです。わたしたちは幸い、そこのお昼がセットになっていましたから、そこでセベッチェを初めて食べました。ビュッフェで好きなものを、おなかが一杯になるまで食べました。そのあとでお茶を飲みました。お茶はマシンがありました。そこに、なんと、日本語で「コーヒー」「お茶」って書いてありました。遠く離れたところではあるけれども、いかに日本の観光客が多いかってことですね。個人で行っても、日本語の説明を聞けるくらい日本の人はいっぱいいましたよ(笑)。