チャールズ皇太子の花譜・その9

ニューヨークから封書が届いた。開けてみると、12日に『ハイグローブ花譜展(”Watercolors from the Highgrove Florilegium”展)』が終わったばかりの、インテリアデザイン専門の大学(New York School of Interior Design)からだった。入っていたのは、これ。

展覧会のカタログではないのだが、この展覧会用に、この大学をはじめとして、各種メディアが書いた案内の記事やリーフレット、会場風景の写真、そしてThe New York Sun紙の記事などが綴られていた。

会場風景は、先日のプレスリリースの時に見たのだが、これで手元に残ることになる。ちょっといい記念品をもらったようで、うれしい。

img_0050_1.jpg

チャールズ皇太子の花譜・その8

4月10日(木曜日)の11時から2時まで、ハイグローブの図譜のプレスリリースがあり、実際に1巻目も見られるというので行ってきた。到着したのは12時半近かったので、すでにプレス関係者はゼロだったが、数人のアーティストに会うことができたのと、実物を手にする(触れる)ことができたのが収穫だった。

数字の上では大型豪華本ということはわかっていたのだが、実物を見て、その大きさに驚くとともに、あ~、無理して注文したりしなくて、ほんとうに良かった…と実感。絵自体の大きさが39センチx29センチ。それが楽に1ページに収まるくらいの大きさ以上の本だから、60センチx40センチはありそうだ。

絵が印刷してある紙は、アメリカの紙だそうだ。わたしが主に使っているイタリアのFabrianoも試したそうだが、このほうが仕上がりはよかったらしい。一度使ってみたい。

その後、金曜日、土曜日と、どこかの新聞に出ているかなと少し探してみたが、わからなかった。

英国ラン協会(Orchid Society of Great Britain)4月例会

本日のトークは、Jeff Hutchingsによる『Dactylorhiza, Cypripediums, Ophrys and other Hardy Orchids』というものだった。

Dactylorhiza fuchsii(Common spotted orchid) Dactylorhiza maculata (Heath spotted orchid)も、この国(特に南部?)ではよく見かける。同じ属のDactylorhiza aristataは、ハクサンチドリだから、前者2つのランの姿形というのは、ハクサンチドリを想像していただくと、わかりやすい。そして、これが一番初心者向けのラン。育てるのは比較的容易だという。

その次に易しいランとして取上げられたのは、BletillaBletilla striataはシランだ。これはこの国には自生していない。

CypripediumsCypripedium calceolus(Lady’s slipper orchid: カラフトアツモリソウ)は、ヨーロッパから東南アジア、カナダ、太平洋沿岸など広く分布する。この国においても、特に北イングランドを中心に数多く見られたそうだが、20世紀後半に、なんと一桁台にまで数を減らし、イギリスにおける絶滅危機種として、今は大事に保護されている。キュー植物園で数を増やし、5つの自生地に再導入されているそうだ。自生地に再導入され、花を咲かせたランを見ようにも、こういうものは、厳重に保護されているために、自生地のずっと手前でUターンさせられるそうだ。

Ophrys。これは、Ophrys apifera(Bee orchid), Ophrys fuciflora(Late spider orchid), Ophrys sphegodes(Early spider orchid), Ophrys insectifera (Fly orchid), Ophrys simia(Monkey orchid)など、虫に似た形の花を咲かせるものが多い。(ハチ、クモ、ハエ、サル…)

❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀

こういう耐寒性のある、露天で越冬できるランというものは、栽培が難しいと思われているが、まずは、そのランの性質を知ることだというのが、ジェフのアドバイス。当然のことではある。露天で越冬できるということは、逆に言えば、そういう環境でなければ育たないということだ。それを、温室で育てて「芽が出てこない」と言われることも、しばしばあるそうだ。イギリス自生のランではなく、シベリアだったかのランは、育つためには、冬の間、6週間は氷点下でなければならないそうだが、そのために、アメリカの栽培業者が大きな冷蔵庫を用意しているのを見て、はて???と思ったことも、かつてはあったと言う。

また、なかなか芽が出ないと言って、芽が出てくるはずの辺りの土を掘って、様子を見る人も多いそう。そういうことをしてはダメだと言うが、なんだかこれはわたしもしてしまいそうだ。

トークが終わったあとで、増えると聞いて、これはシランだろうなと思うものを買おうかと思ったが、くじの賞品に、よさそうなラン(主にカトレア系)がたくさんあったので、当たるかもしれない、当たらなかったら買おうと思っていたら、当たりくじ発表の時には、すでにジェフは地生ランの鉢とともに消えていた。くじは当たらなかった。残念。

❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀ ❀❀❀❀

今回は下にあるLycaste aromaticaの鉢を抱えて持って行ったから、結構たいへんだった。蘭展の直前に咲き始め、なんとか3週間持ってくれたので、今回の月例会に持っていくことができ、カテゴリー21の部門において1等賞をもらうことができた。…と言っても、正直に言えば、この部門には2株しかなかったので、1等賞じゃなければ、2等賞がもらえたわけだが。

Lycaste aromaticaは、全部で5鉢出ていた。そのうちの3鉢はオークリー博士の所有で、それぞれの鉢が、バケツ大かそれ以上の大株ばかり。そして、わたしのLycaste aromaticaと、2等賞になった人のLycaste aromaticaだ。 ところが、オークリー博士の1鉢と、2等賞の人の1鉢は大きさこそかなり違うものの、同じ花が、同じように上を向いて咲いていた。親子だそうだ。

その親子も、わたしのアロマティカも、もともとはメキシコ産の同じアロマティカの種子から育ったものだが、わたしのアロマティカは花の形もやや違うようだし、何より、上を向かず、下垂して花をつけていた。14本の花茎のうち、6本はダブルで花が咲いていたが、その2つ目の花のつき方も、ちょっと変わっているそうだ。実生というのは、個体差が大きいようだ。

合計徒歩40分の間に揺らされまわったせいか、花が一気に痛んだ気がする。帰ってくると、茶色い部分が増えていた。

チャールズ皇太子の花譜・その7

The New York Sun

image001.jpg
image002.jpg

チャールズ皇太子の花譜を出版した『アディソン出版』社(Addison Publications.)から、2つの添付ファイルのついたメールが来た。添付されたファイルは上記の新聞記事。ニューヨーク・サン紙に載った記事である。

なんと、2つ目のファイルの真ん中、一番上の段落の下のほうに、わたしの名前が出ていて、こう書かれていた。

”Exceptionally delicate are the magnolia branches and flowers by Mayumi Hashi, who captures the buoyant gesture of leaves opening, wing-like, above a pale blossom. ”

わたしが描いたマグノリアについてのコメントだ。この記事を読むと、全部で46人のアーティストによる74枚の絵が展示されているのだが、そのうち、この記事でコメントされているのは、Sally Crosthwaite, Lizzie Sanders, Sally Vincent, Katherine Manisco, Josephine Hague の5人と、わたしの計6人のみ。なんだかとっても光栄に感じる。

このファイルの日付を見ると、記事が載ったのは、先週の木曜日(20日)のことらしいのだが、同じ記事が、同じ新聞の3月25日(火曜日)の分にも載っていた。

Lycaste aromatica No.7

img_9238_1.JPG

ちょうどRHSラン展の直前から花を開き始めたLycaste aromaticaは、今、計17の花をつけ、つぼみが残り3つある状態で、とてもきれいだ。おとといの土曜日にラン協会のミーティングがなかったのが、とても残念。次回ミーティングは2週間後なので、ちょっと遅いだろうな。それでも持っていくかもしれないけど。持っていけるといいなと願っている。

2つのバルブから、それぞれ花芽が7本ずつ上がってきていたのだが、そのうちの6本には、花が2つずつついたので、全部で花は20になった。

このバルブのもとを見てみると、新しいバルブが今度は3つ見える。(ん? ってことは、作落ちしたってことになるのだろうか? 去年はバルブが2つ出来たのだから?)

img_9187_1.JPG

img_9185_1.JPG

img_9243_1.jpg

img_9240_1.JPG