こうしてタルマのマーケットを楽しんだあと、ようやく、再び、そして最後のワサワシ行きにと向かった。
今回のタクシーチャーター代は70ソル、2000円強だ。
ワサワシの、村に向かう道ではなく、山へと入っていく、村に向かう道よりももっと細い道で、歩いていたインディオのおばあさんが片手を挙げた。車の音がしたので機械的に手を挙げたのだろう。運がよければ、その車がコレクティボで、時間も労力を稼げるということになるのだ。わたしたちは、セサの運転で、乗っているのはわたしとガイドのサウルの2人のみ。おばあさんを拾ってあげることにした。おばあさんは後部座席、わたしの隣に座って、最初のうちは、好奇心でチラチラとこちらを見ている。気がついて、こちらもおばあさんを見ると、あわてて視線をそらせてしまう。そんなことがしばらく続いたのち、おばあさんの好奇心もなくなったのか、ひたすら前を見ているようだった。
でも、この道は、ワサワシ村へと行く道よりも、ずっと勾配がきつく、しかも、おばあさんはかなり長い間乗っていた。ということは、その道のりを、ほんとうは歩くつもりで歩いていたということだ。驚きとともに、生活のたいへんさ、おばあさんの精神的肉体的な強さというものを感じた。
おばあさんを下ろして、しばらく行ったところで、わたしたちもストップ。タルマは晴れていたのに、さすが、高度3000メートルあたりの雲霧林の中ということで、霧が出ている。その道端に咲いていた白い可憐な花。